ザンちゃんのブログ 東雲家にRanaが来た2 書きかけ

 ※東雲家に期間限定かも知れないけどRanaが来たっていう、Rana宣伝動画の続き。

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 Ranaが来てから2週間ほどが過ぎた。Ranaはメイドの仕事を四苦八苦しながら覚えているようだ。それでも、キヨテルに愚痴ったり、覚えたことを報告したりとそれなりに楽しそうにしていた。
 昼食を終えた初が、Ranaを呼んだ。
「仮曲と仮メロが出来たから、実際に歌わせて合わせてみたい。初めてのRanaからね。」
「出来たんですか!?」
 Ranaは嬉しそうだ。
「今回は時間をかけましたね。」
「だって、体験版と違って、Ranaは買い続ける限りは居るし。手をかけたかったんだよ。」
「嬉しいです……!」
 Ranaが泣いている。
「何泣いてんの。」
 初が馬鹿にしたような顔で笑っているが、キヨテルと違って充電の時くらいしか構って貰えなかったRanaにとって、どれほど嬉しいことだろうとキヨテルは思った。「4コマでもそうだけど、どーでもいい事で泣くんだね。」
「4コマって、マガジンに付いてくるRanaさんの4コマですか。」
「そうだよ。」
 初は定期購読も申し込んでいたらしく、既刊のマガジンがどっさりと届いていた。彼はRana本人は放置していても、マガジンは読んでいたらしい。
「どうでもよくないです……。マスターはわたしのこと、ちっとも構ってくれなかったから……。」
 Ranaが泣きながらぼそぼそ呟いた。
「曲作ってたし、モデルの仕事はあるしで、僕は忙しいの。」
 初はRanaを睨む。「それより、早くこっちに来てよ。オケと歌を合わせたいんだから。」
「は・はい……。」
 Ranaが慌てて初の側に行く。
「そこまで嫌わなくてもいいのに……。」
 キヨテルは呟いた。Ranaに対して冷たい初に、彼の母親の姿が重なった。初の母親はキヨテルが悪くないのに冷たくするので、キヨテルは辛いと感じていた。同じように、本人は何も悪くないのに冷たくされているRanaも辛いのでは……と思っていた気持ちが零れてしまった。
「え? 何? Ranaが終わったらキヨテルだよ。初めて触るボカロだから、先にRanaを触りたいの。我慢してよ。」
 呟きを我が儘と勘違いしたらしい初に睨まれ、ぺしぺしとお尻を叩かれた。
「いえ、僕を先にして欲しいだなんて、言ってません。」
「じゃあ、何て言ったの?」
「Ranaさんを求めたのは僕ですけど、最終的にお金を出したのはマスターです。それなのに、Ranaさんに冷たすぎませんか。」
「……まあ、そうかもね。」
 初がRanaの頭を撫でる。Ranaがまた泣き出した。「ほんとすぐ泣くね。」
「マスターの所為でしょう。」
「分かったよ。もう少し気をつければいいんでしょ。煩いなぁ。」
 初が溜め息をつく。
「……。」
「キヨテルが煩いから、早く調教に入っちゃお。Rana、後ろ向いて。」
「はい。」
 Ranaがキヨテルにぺこりと頭を下げてから、初にお尻を向けると、初がRanaの首にケーブルを挿し込んだ。
 『マスターはどうしてRanaさんを買ったんでしょう……。』
 仮歌を歌い出すRanaを見ながら、キヨテルは溜め息をついた。



 キヨテルとRanaのデュエット曲が完成した。後は二人がダンスを踊れば動画サイトにアップ出来る。初が二人の前で、曲に合わせてダンスを踊る。
「……こんな感じ。デュエットだから絡みも合った方が良いと思うんだけど、それは僕が嫌だから無しね。」
「Ranaさんに嫉妬してしまう……と。」
「そうだよ。」
「マスターのダンスも凄いですし、皆で踊りましょう! その方が楽しいです。」
 Ranaがニコニコ笑っている。
「それは駄目。“ボカロ曲を踊ってみた”をボカロ本人がやるのが面白いんだから。」
「でもぉ。」
「それに、顔を隠して踊るのも嫌だし、出すのも嫌なの。僕は女性モデルなんだからね。」
「モデルがボカロPって面白いですよね。もっとお仕事が来るかも……。」
「露出が多くなると、男だってバレやすくなるかも知れないし。……そんなことより、はい、二人とも踊って。」
 初がパンパンと手を叩く。
「はーい……。」
 Ranaは不満そうだったが、初に睨まれて諦めたようだ。1回で覚えられるわけもないので、初が踊るのに合わせて踊ることになる。MMD-PVを想定して作られてるRanaは、キヨテルよりずっと上手かった。
「Ranaさんは、ダンスがとてもお上手なんですね。僕は踊らなくてもいいのでは……。」
「何言ってんの。もっと自分に自信を持ちなよ。キヨテルだってずっと踊り続けてきたでしょ。」
 初が優しく微笑む。
「いえ、別に自信がなくなったわけではなくて、上手いRanaさんが居るなら、僕は楽をしたい……と痛っ。」
 初にお尻を鋭く打たれてしまった。
「デュエットなのにRanaだけ踊るなんておかしいって、キヨテルだって分かってるよね?」
 初にとても優しい顔と口調で言われ、キヨテルはぞくっとした。かなり怒らせたらしい。
「は・はい……。ご免なさい。踊ります……。」
 ビクビクしながら言うと、初が軽く溜め息をついた。
「じゃ、さっさと踊って。」
「はい!」
 どうやら、ぶたれずに済むらしい。キヨテルはホッとしながら、初の動きに注目する。


 ダンスのマスターはやはりRanaの方が早かった。キヨテルがミス無しで踊れるようになる頃には、一人で練習していたRanaのダンスは更に完成度が上がっていて、キヨテルがいくら練習しても追いつけそうもなかった。
「Ranaですらこれなら、ダンス特化の杏音・鳥音なんてもっと凄いんだろうね。逆に僕のダンスなんて鼻で笑われそう。」
 初が苦笑しているが、いくら何でもそれはないだろうとキヨテルは思う。ボーカロイドはそんな風には作られていない。むしろ、踊らせてくれるマスターを喜ぶ筈だ。が、キヨテルは言わないことにした。初を喜ばせたくないからではなくて、ただ単に踊り疲れていたのだ。
「あのんさんとかのんさんは凄そうですよね♪」
 Ranaは楽しそうだ。
「僕はRanaさんの引き立て役ですね……。」
「ま、仕方ないんじゃない? うちのRanaのデビュー曲になるんだし、我慢してよ。」
 初に頭を撫でられた。「僕はキヨテルのダンスも好きだよ。」
「有り難う御座います。」
 キヨテルはにっこり微笑んだ。



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 Ranaを買い続けることにした初。ただ、扱いに差が……。 
「辛くないですか?」
「まあ、ちょっとは。」
 初に愛されてるキヨテルに複雑な気持ちを抱きつつも、たまに見せる初の優しさが嬉しかったりするRana。


 暫く経って……。扱いの違いが段々辛くなったきたRanaは、頑張ってそれを伝えようとするも、結局言えず泣きながら逃げ出した。追いかけてきたキヨテルに自室で慰められていると初がやって来た 二人で話したいからとキヨテルは追い出される。
 言いたいことがあるならはっきりと分かるようにと冷たく言う初。しかし、何もないとしか言えず泣くことしか出来ないRana。泣きすぎて水分が切れてしまったので初が補充しようと部屋を出ると、キヨテルが空ペットボトルに詰めた水道水とじょうごを用意していた。
「気が利くね。ありがと。」
「手持ち無沙汰なので……。ところで、Ranaさんには水道水ですよね……。」
「だって、Ranaの涙は飲まないもん。良い水を使っても無駄になっちゃう。……アンドロイドって不便だよね。それどころじゃないのに、こんな事しないといけない。」
「作り話の中では、作者が意図しない限りは、盛り上がるシーンで邪魔が入ったりしませんね。」
「そうそう。」


 水分補充が終わったのでまたしても追い出されるキヨテル。
「どうして僕は居てはいけないのですか?」
「だって、キヨテルが側に居ると口出ししてきて邪魔なんだもん。我慢して。」
 ぶつぶつ言いながらも素直に出て行くキヨテル。
 再起動したRanaはとうとう、わたしももっと構って欲しいと泣き叫ぶ。 「やっと言えたね。言葉にしないと何も伝わらないよ。言わなくても察して欲しいって甘えは、僕好きじゃないんだ。」
 初がRanaを抱っこして頭を撫でる。
 そこへ、顔を歪めたキヨテルが入ってくる。
「え、何その顔。和解出来たんですねって喜ぶところじゃないの。」
 抱きついてくるキヨテル。
「マスターとRanaさんが仲良く出来たのは嬉しいです。でも、僕が蚊帳の外なのは寂しいです……。」
「Ranaは0歳だから子供っぽくてもしょうがないけど、キヨテルはどうして子供なんだろうね……。結局経験が伴ってないから設定に追いついてないのかな。」
 キヨテルとRanaを抱っこしながら初は独り言を言うのであった……。


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 Ranaちゃんを大分辛い目に遭わせちゃったーw 初ちゃん厳しいよ。と仲良くさせたのはいいけど、わしの懐具合によってはRanaちゃんは帰ってしまうのでした…… アルバイトが首とかにならない限りは全部買うつもりではあるけども。

1話は下記。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~zanneko/cgi-bin/htmldwarf/novel/bokaro/kibimasu/kibimasu-rana1.html