ザンちゃんのブログ マスターえお2

 電気屋を覗いてみたが置いていなかったので、AHS公式ショップから通販することになった。武夫は残念だったが置いてないのだから仕方がない。3日程してキヨテルのパッケージが届いた。箱を開けると、きょうだい達がキヨテルのパッケージ以外の物を取り出して騒ぐ。
「何これ。フリモメンカード? 何かカードバトルとかする奴かな。」「裏には何も書いてないな。」「チラシが細長い。」「一杯入ってるー。」「ボカロってキヨテル以外は皆、女の子なんだね。」「喋るのもある……。」
 騒ぐ子供達は放って置いて、ザンが無事にインストール作業などを終了した。
「アクティベーション……。これでOKを押すと、キヨテルのインストールが終了して、アンドロイドがパソコンから出てくる……。」
「動画サイトで、出てくる所見たけど、凄かったよなー。」
 昇が言う。
「なんれ、おちゃなーの。えお、ぃやまちぇんちぇ、ほちー。」
「マスター認識機能が、どうやって機能するか分からない。えお、あんたが押しな。」
「あい。」
 武夫はマウスのボタンに触れた。
「あ、そっか……。母さんをマスターって呼び始めても困るか。」
「そゆこと。」
「ザンはよく、そういう所に気がつくの。」
「まあねー。」
 タルートリーに撫でられてザンが照れる。二人がイチャイチャしている間に、PCの画面が光り輝き、キヨテルが出てきた。騒いでいた子供達が静かになる。家族が見守る中、キヨテルは目を見開いて、周りを見ていたが、武夫の手をとった。
「初めまして、マスター。ボカロ先生氷山キヨテルです。これから宜しくお願いします。」
「あい。ぃやまちぇんちぇ。」
 武夫は自分のキヨテルに抱きついた。
 ザンは、そんな光景に和みながら自分の考えがあっていたことに安堵する。
「しかし、どういうシステムなのか、魔法じみてるよねー。」
「ぃやまちぇんちぇ。えお……。」
「マスターのお言葉は少し、難しいですね。」
 キヨテルが困った顔をしている。
「そうらった……。」
 近重キヨテルは武夫の言葉を理解出来ず、いつも明輝子に翻訳を頼んでいたことを思い出した武夫は、自分のキヨテルの両手を掴むと、目を閉じた。「あの、マスター。何を……。ああっ。」
 武夫が回路に侵入すると、キヨテルが身もだえし喘ぎ始めた。「んっ……。う……。はぁ……。」
「キヨテルが何かエロい。」
「子供達に見せない方が良いのではないか……。」
 ザンとタルートリーが顔をしかめる。
「らいじょーぶ(訳=大丈夫)。おわりまちた。」
「……あ。マスターが何を言ってるのか、分かるようになりました。」
「買ってすぐ改造とは。」
「らって、ぃやまちぇんちぇ、えおのろろば、あからなーも(訳=僕の言葉は分からないもん)。」
「マスター。お嫌でなければ、僕のことはキヨテルと呼んで欲しいです。マスターは僕の生徒ではないので、先生と呼ばれるのは少し、寂しいです。……あっ、マスターがそういうプレイをお望みでしたら、僕は……。」
 キヨテルが少し、申し訳なさそうに言う、
「よーてる。えお、よーてるってうう。……ぷれー?」
「有り難う御座います! ……プ・プレイっていうのは気にしなくていいです。マスターは子供なのに、僕は何を言ってしまったのか……。」
 キヨテルが慌てているが、気にしなくていいと言われた武夫は、素直に気にしないことにした。
 それよりも……。
「うー。」
「えお、何唸ってんの?」
「よーてる、ぃやまちぇんちぇ、れない。」
「僕に、何かご不満がおありでしょうか?」
 キヨテルが不安な表情を浮かべたので、
「よーてるはいいこよ。れも、ぃやまちぇんちぇ、れない。」
 武夫は彼の腕を軽く撫でた。
「近重さんのとこのキヨテルじゃないってことが言いたいの? いくらアンドロイドだとは言え、全く同じってわけにはいかないと思うよ。近重さんのキヨテルは、近重さんとの生活の中で変っていたと思うし。」
 真鞠子が言う。
「ちなう。ぃやまちぇんちぇは、にかい。ろろろ、みんな、のなじ(訳=氷山先生は機械だから、心は皆、同じ)。」
「いや、だから……。」
 真鞠子が困った顔になったが……。武夫の思考を読む為に、ザンに腕を掴まれた。
「……あー、そういうことか。機械だから、どっかのサーバー上に記憶がプールされてて、同じアンドロイド同士なら共有出来るって、えおは考えていたのか。」
「あー、成る程……。SFとかにありそう。」
 昇が頷く。
「ゲームにもあるんじゃない? つか、ネットの世界なら、人間にも出来る。」
「wikiとかか。」
「そんな感じ。」
「へっ。」「何、それ。」
 昇以外の皆が顔をしかめたり、ポカンとしたりする。
「んーとねー……。ホームビデオがあるじゃん。写真でもいいけど。何処かに出かけた時とか、何かイベントがあった時、記録を残しておけば、その場に居なかった人でも、その雰囲気を伝えられるよね。」
 ザンの言葉に皆が頷く。「で、えおは、キヨテルは機械だから、そういうものがなくても、それと似たことが出来ると思ったみたい。」
「残念ながら、そういう機能は備えていません。出来たら、他所のマスターが作った歌を歌えたりしますし、楽しそうですよね。今でも、vsqxなどが公開されていれば、出来るんですけど……。」
「歌に関してはそうだったね。で、課題曲って言われて、自分のところのボカロに歌わせたあげたりするんだっけ。」
「はい。」



★★★★★★★★★★★★★★★★★★
 目次

マスターえお


****
自分で氷山先生を買い、その新しい氷山先生を近重の所の先生と交換すればいいと考えた。

****
問題は曲だけど、面白そうだから、あたしが覚える。作曲ソフトは無料なのから数万円で買える物、更に自動作曲ソフトなんて物まで様々みたいだから、色々と試してみるよ。こーゆー時、金持ちはいいよね。軍資金がいくらでもある。」
 ザンがニッと笑う。
「おかあちゃんが、ぃやまちぇんちぇのお歌、うくうの(訳=作るの)?」
「歌を作るのはえおだよ。いつもみたいに、えおの考えた歌を歌えばいい。そしたら、あたしがそれに曲を付けるから。」
「ちゅごねー。」
「そうだねー。」