ザンちゃんのブログ 聖士さんが酷い世界1

 杯と混沌の満月 別ver2の設定で書いた、聖士さんが極悪人の奴。ということで、親から子への虐待表現あり。

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 昼休み。キヨテルは、校庭にあるベンチに座って、図書館から借りた本を読んでいた。教室にいると、クラスメイトの楽しそうな会話が耳に入るからだ。輪に入って会話を楽しみたくなるので、外にいる。……KAITOから逃れる為でもある。


 クラスメイトのKAITOは、何故かキヨテルに興味を持ち、ことあるごとに話しかけてくる。外国で長く暮らしていたという彼は、たまにずれたことやおかしなことも言うが、明るくて親しみやすく、クラスの人気者だ。
 本当なら、キヨテルだってKAITOと楽しく話したい。だが、キヨテルは楽しい思いをしてはいけないと父からきつく言い渡されている。だから、KAITOと楽しく話すことは出来ないのだ。
 なので彼を避けようとしているのに、KAITOは諦めるどころか意地になってしまい、何とかキヨテルと親しくしようと躍起になっている。
 その気持ちがとても嬉しいのに、父の命令の所為で親しく出来ないのが辛い。
 だから、昼休みは外にいる。


 暇つぶしの為に借りた本だったが以外に面白かったので、夢中になって読んでいると、本を取り上げられた。漫画ではないし、校則違反ではないはず……と思い、顔を上げると、そこにいたのは風紀委員でも教師でもなく、KAITOだった。
「人嫌いのキヨテルは、読書が趣味なのか。」
 彼はキヨテルが読んでいたページに栞を挟むと、前の方のページをぱらぱらとめくった。「ふむ。こういうのが好きなのか。」
「返して下さい……。それは僕が買ったものではなくて、町の図書館の本なので、汚されたりしたら困るんです。お願いです。何でもしますから……。」
「何だよ。その、苛めっ子に大切な物をとられたような反応は。」
 KAITOが鼻白む。
「……。」
 キヨテルは俯いた。
「キヨテルにとって、俺ってそういう人なんだ?」
「……。」
「……相変わらずだな。ほんと、俺って、キヨテルに嫌われてるなあ……。」
 溜息をついたKAITOが本を差し出してくれるのを、キヨテルは受け取りながら俯く。
「だって……。」
「ん?」
「僕は楽しむことは許されないんです……。お話しをしたら楽しいでしょう? それは許されません……。」
「何だよ、それ。」
 KAITOが真面目な顔になる。
「……余計なことを言ってしまいました。気になさらないで下さい。」
 キヨテルはベンチから立ち上がった。「もう少しで予鈴が鳴るでしょうから、僕は行きますね。」
 急いでKAITOから離れた。


 問い詰められるのではと少しだけ不安になったが、KAITOが何も言ってこないまま放課後になった。
 『きっと変人だと思われたのでしょう……。もう声をかけてくれることもないのでしょうね。』
 嬉しいが、寂しい。父の命令さえなかったら、友達になれたろうに。キヨテルは悲しみを堪えながら家に帰った。
 家につくと、キヨテルは自室に入り、制服を脱いだ。この世界の聖士はキヨテルを出迎えることはない。
 普段着に着替えたキヨテルは、台所へ向かった。
 テーブルの上に買い物メモと食費用財布が置いてある。夕飯や朝食、高校に持っていくお弁当のおかずの買い物はキヨテルの仕事だ。キヨテルはそれらとエコバックを手にすると、スーパーへ出かけた。


 自分の欲しいものを買うことは許されていないので、メモにあるものだけを買い物籠に入れていく。お小遣いも貰っていない。ノートや鉛筆などといった、必要なものだけは言えばお金を出してくれるが、それ以外のものは滅多に出してくれないどころか、我が侭だとぶたれることもあるくらいだ。キヨテルの自由になるお金は一円もなかった。
 友達との付き合いを許されても、これでは楽しめないだろうとキヨテルは思うようにしている。
「キヨテルも夕飯の買い物?」
 驚いて振り返ると、KAITOが立っていた。キヨテル「も」と言っただけあって、彼が手にしている買い物籠には、野菜や肉などといった高校生が買いそうもない物が入っていた。
「KAITOさん……。」
「あ、名前を呼んでくれた。へへ、嬉しい。本当は「君」がいいけどなー。」
 本当に嬉しそうにKAITOが笑うのを見たキヨテルは、切なくなった。
 『良いお友達になれそうなのに……。』
「……。」
「キヨテルのうち、今日は何? 俺はビーフシチュー。」
 キヨテルの悲しい顔を不思議そうな顔で見ながら、KAITOが訊いてくる。
「親子丼です。」
「その割には一杯入ってるなあ。」
 篭の端を持たれて、中見を無遠慮に見られた。
「明日の朝御飯と、僕のお弁当の分もありますので。」
「ふーん。」
「KAITOさんはどうして夕飯のお買い物を……。」
「俺に興味を持ってくれるんだ?」
 KAITOがニヤニヤ笑う。
「……。」
「親は向こうにいるから、俺は一人暮らしなんだ。」
「そうだったんですか……。」
「そういうキヨテルは?」
「養父が神父で、結婚は出来ないので、うちは僕と父の二人暮らしなんです。家事は二人で分担しています。」
「ほほう。」
「あまり遅くなると、父に叱られるので……。」
 会話を楽しみたくなるので嘘をついた。
「ん、分かった。明日、また学校でな。」
「はい……。」
 キヨテルはKAITOと別れた。


完成した日12年7月14日

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 KAITOが外国暮らしっていうのは、悪魔なので、会話が合わなくなるのを誤魔化す為の嘘。外国育ちなら、日本の常識にあわないことを言ったり、アニメやゲームを知らなくても、仕方ないと思って貰えるから。
 「キヨテルという男」の一般悪魔のKAITOは、人間そのものには興味を持っているとはいえ遠くから人間観察に留めていたので、クラスメイトに気味悪がられていた。だけど、この話の貴族KAITOは深く立ち入りたかったので、そういう違和感を持たれない為の努力をしている。
 
 貴族KAITOは、一般人KAITOと違って、個人的な理由ではなく、仕事の一環として人間界にいる。 高みの見物で人間を見ていても判断が出来ないので、そういうお仕事。天使側にも、そういう仕事で人間界に紛れているのがいたりする。神の使いは色々と大変。

 KAITOが先生を気にかけているのは、お仕事は関係なくて、ただ単に個人的な理由。男色家なので。
 

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 小説を書きたい気分が高まってるけど、続きを書く気力がないので、書きたい奴を書けるとこまで書くことに-。
 とか言ってたら、これは完成……。