ザンちゃんのブログ 魔法界2 2 村長夫婦

※魔法界で、わたしが落ちこぼれで捨てられちゃう話を書きたくなったので、それを。

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 落ち着いたので、話の続きを聞く。
「中々魔法を覚えられない君を育てるって事は、根気の要る作業だ。元の君の両親はそれに耐えられなかった。ある意味では仕方ない。暴力に訴えたのはただの逃げで許されないけど。でも、心血を注いで頑張ったのに見返りがないのが辛いってことは、君も分かるよね?」
「それはまあ。」
「だけど、魔法の可能性を研究している僕達は違う。早々に結果が出ないことなんて、当たり前のことさ。それどころか、必死になって見つけたあるやり方が、すでにもっと簡単な方法で広まってた……なんてこともよくあることでね。だから、そんな僕達にとって、乗り越えるのが困難な壁はむしろ大歓迎なんだ。だから君は、この村ではすごく人気なんだよ。」
「……言いたいことは分かるけど、何だかなぁ。」
 わたしに魔法を教えるって、新魔法を開発する並みに大変なことなのかと脱力してしまう……。
「だから、君の親を決める為に争奪戦が繰り広げられてねぇ。」
「わたしって……。」
 わたしの恋人の座を巡って、男達が争ったというなら楽しそうだが。やけに悲しい。
「で、さっき言ったように、ザルトには奥さんが必要で、なのに僕達には娘が居ないって理由で、僕達が君を引き取る権利を得たんだ。そんな理由でもなければ、争奪戦に勝つことは難しかったよ。村長権限で君を娘にしたという公私混同は良くないし。」
「はあ、そうですか。ってことは、人気者だから、未来の村長夫人でも問題はない……と。」
「それとこれとは別だよ。でも、まあ、大丈夫。僕達が魔法を教えるんだから、ちゃんと使えるようになるよ。」
「だと良いけど……。」
 わたしはもう、自分が魔法を使えるという夢を見なくなっていた。
 わたしの答えに村長夫妻は一瞬悲しそうな顔した。だが、村長が空気を変えるように軽く手を叩き、親子の儀式を始めると言った。それが済んだ後、わたしは裸にされて、傷を見られた。
「見てどうするの? 好奇心?」
「違うよ。君を育てる覚悟を持つ為にも、自戒の為にも、必要なんだよ。」
「自戒? あ、言葉そのものは分かるから、説明しなくていいよ。」
 わたしは、漫画などでありがちなやりとりを思い出して、つい言ってしまった。
「言われなくてもしないよ、面白い子だね。」
 村長に笑われてしまった。「ザルト君から聞いたかもしれないけど、この村ではお尻を叩く体罰が当たり前なんだ。でね。虐待を受けていた君に、体罰を与えるのは慎重にしないといけないから、やり過ぎないように、見ておくんだよ。君の受けてきたものを。」
「……ふーん。」
 争奪戦などと言われ、軽く考えてるように思われたが、彼等はわたしを引き取ることを、重く考えているのが伝わってきた。




15年10月25日

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魔法界 落ちこぼれ1